カウンセリングとは、1対1で例えば50分、定期的に話し合いを続け、内面や考えのくせ等を整理していく営みです。
話すことによるカタルシス効果、対話を通じての「気づき」、専門家からの助言の3つの側面での効果を期待します。
当院では、診療の一環として、外来治療と組み合わせる形で、心理士によるカウンセリングを実施しています。
2021年4月より、カウンセリング業務は、下記の連携施設「府中カウンセリングルーム」で行います。(当院受診でない方も利用可能です)
カウンセリングルームカウンセリングとは、心理士などの専門家と、一定時間、一定間隔で繰り返し話し合いを行うことを通じて、こころの内面や考えのくせ等を理解したうえで整理していく方法です。たとえば、2週に1回、1回50分、1年(計24回)などで行っていきます。
細かくは流派や心理士の個性により差がありますが、共通して目指す効果は、以下の「話す」「気づく」「アドバイス」の3つに集約されるかと思われます。
悩みや苦しみがあった時、自分の中に押し込めてもなかなか解決せず、むしろイライラや体の不調につながってしまうことも少なくありません。それを実際に話すことで、それ自体一種の解放感(カタルシス効果)を持つことが期待できます。一方で家族問題やこころの病のことなど、なかなか他者に相談しにくい場合もあります。そうしたときに、第三者である「こころの専門家」に相談することで、答えの見えない閉そく感を脱することを目指せる場合もあるでしょう。特に言いにくいことや混乱しやすいことに関して、こころの専門家である心理士が、それを「引き出す」助けになれればと思います。
一人で考えていると、どうしても堂々巡りになり、答えが出ないばかりか心身の不調にいたることもあります。こうしたときに、実際に話すことで、内面の悩みを言葉を通じて「外在化」して、客観的に見ていくことが期待されます。その結果、一人で悩んでいた時は見えなかったこと、解決法や別の見方に、「気づく」ことがあります。その際に、こころの専門家である心理士が、問いかけなどを通じて、新しい視点に「気づく」助けができますと幸いです。
「話す」「気づく」ことを通じて問題の解決やこころの状態改善が起こることも多い一方で、それだけではなかなか解決や改善に結びつきにくい場合もあります。そうした場合に、お話をお聞きした心理士から、押しつけにならないよう留意した形での「アドバイス」を提供する場合があります。それが「気づき」のヒントになる場合もあれば、カウンセリング後の生活の取り組みにつながる場合もあります。
以前からのカウンセリングでは「話す」「気づく」に、近年の認知行動療法では「アドバイス」に重点が置かれる面がありますが、これは状況により両立、使い分けが可能なものと考えます。受けられる方の個性や状況等に応じて、重点を置く部分を調整しつつ、援助させていただければと思います。
こころの不調と関連が予想される様々な悩みに対応してまいります。たとえば、以下のようなお悩みの場合、ご相談ください。
なお、現段階では、以下のようなお悩みには対応が困難です。各種の専門家の方等にご相談いただければと思います。
当院は心療内科・精神科の医療機関であり、以下の枠組みでカウンセリングを提供します。
当院は心療内科・精神科の医療機関であり、様々なこころの不調への医師による治療(主にはくすりを用いた治療)が主となりますが、ストレスや悩みなどの心理的な要因が強い場合には、専門の心理士が、診療の一環として、カウンセリングを行ってまいります。
当院のカウンセリングは、しっかりと時間を取って向き合うため、1回50分の枠で行います。カウンセリングは継続して行うことが重要であり、2週ごとを目安にして行います。(病状、状況等により、間隔の長さが変わることがあります)
当院では、診療の一環として、医師の診察と組み合わせる形でカウンセリングを行います。医師と心理士の間で定期的に話し合いを行っており、カウンセリングと診察がともに補い合って、より良い治療効果を生み出すことを目指しています。
各回(診察+カウンセリング)の費用は、医師の外来診察料金と予約料(6600円(税込))の合計額になります。なお、2019年10月現在、木曜、土曜にカウンセリングを行っております。
よく聞く話として「カウンセリングは、薬と違って副作用がなくて安全」との話がありますが、それは必ずしも正確ではないと考えます。カウンセリングの「話す」「気づく」「助言を受ける」ことでの効果が大きい場合もある一方で、大事な事を思い出し話すことで一定の心理的負担がかかります。そのため、導入や継続にあたり医師が継続的に診察して適応の判断をしております。
特に、以下のような場合は、カウンセリングが逆効果になる恐れがあり、適応を慎重に判断しております。
カウンセリングで「話す」ことは、前のことを思い出し、それを言葉にすることが含まれます。特にストレスのかかることを思い出すときには、一定の心理的負担がかかり、たとえ安定した状態のときでさえ、一時的に状態が不安定になるおそれがあります。病状が不安定であったり、思い出す事のストレスが大きい場合は、特に不安定になるリスクが大きくなるため、安定してからカウンセリングを行うなどの対策が必要なことがあります。
たとえば、幻聴が強い統合失調症、重いうつ病の方など、エビデンスとして薬物療法が優先される場合においては、カウンセリングよりも、薬物療法等をお勧めする場合があります。
認知行動療法も含めカウンセリングは対話の積み重ねであり、時間を重ねて徐々に効果を期待するもののため、すぐ劇的に状態が変わることは考えにくいです。また、一部ドラマ等であるような劇的な体験・変化を期待するものでもありません。その点と想定される費用などを踏まえたうえで、ご検討いただけますと幸いです。
カウンセリングの中で、様々な感情が表に出てくる場合があります。そこから「気づき」などいい方向に向かう場合も多いのですが、その感情が逆効果になってしまう方も、中にはいらっしゃいます。そうした「カウンセリングとの相性の悪さ」が予想される場合には、カウンセリングの継続について、慎重に検討させていただきます。
当院では、カウンセリングの安全性の確保などの観点より、カウンセリングは診療の一環として行っております。そのため、カウンセリングと医師の診察を並行して行っており、カウンセリングのみの実施は行っておりません。ご理解のほどお願い申し上げます。(カウンセリングのみご希望の方は、近隣の心理相談室などをご検討ください)