こころリワーク:府中こころ診療所

 

リワーク専用回線

もくじ

 

はじめに:リワークプログラムとはなんですか?

2-3か月を目安に週数回の通所をして、確実な復帰とストレス対応力の獲得を目指すプログラムです。

 

リワークプログラムとは、うつ病等で休職している方が復職のために行う、定期的に通所して行うリハビリのプログラムです。うつ病等で休職している方の治療としては、抗うつ薬などの「薬物療法」と、初期の休養から、中期以降次第に活動を増やしていく「活動指導」の2つがありますが、外来診察のみでは、特に「活動指導」の面で、ご本人の自主性に任される点が多くなり、その結果休職が長期化したり、復職で急に負荷が増える事から再燃する恐れが高くなることがあります。

 

その弱点をカバーするために、診察と組み合わせて行うリハビリのプログラムが「リワークプログラム」になります。定期的に通いながら1日数時間の活動を行うことで、「活動を増やすこと」「ストレス対処法を身につけること」などを行っていき、確実な職場復帰につなげるとともに、ストレス対処の方法論などを活用して復帰後に「再燃せず」仕事を継続できることを目指します。

 

都心部と比べて、多摩地域では、特に診療所でのリワークプログラム提供は十分とは言えない現状があると考えます。このプログラムを通じて、多摩地域の働く方のこころの問題への貢献ができればと考えます。

リワークで期待する効果

期待する効果①復帰の土台作り(活動量、リズム、自信)

復帰後、ストレスがかかっても再燃しない状態を作るためには、負荷に耐えられる状態(復帰準備性)を作っていくことが重要です。リワークプログラムに定期的に通所することにより、他者との交流・思考・運動など総合的な「活動量」に慣らしていき、かつ日中活動を土台としての「生活リズム」の確立を図ります。そして、活動を続けていくことを通じて、復帰後負荷がかかっても大丈夫と思える「自信」をつけていくことを目標とします。

期待する効果②仲間の存在

ともすると、うつ病の治療やリハビリは、相談しにくい面もあり、孤独な取り組みになってしまいがちです。その点、リワークプログラムに定期的に参加することで、担当スタッフと定期的に相談し、方向性を見定めていけることが見込めます。また、同じ悩みや葛藤を抱えつつ努力している「仲間」にあうことで、自分の状況を相対的に眺め、安心感を持ちつつ、復職という大きな目標への取り組みの継続を図っていけることを期待します。また、定期的に、リワークを卒業された方の集まりもあり、復帰後の心の支えになるとのお声も聴いています。

期待する効果③対処法や内省の獲得

職場復帰は大きな目標ですが、より重要なのは、復帰後ストレスがかかっても再燃せず、仕事をやりがいを持ちつつ継続していくことです。そのために、負荷に注意しつつも以前を振り返り(内省)今後のあり方に生かしていくことが重要ですし、復帰後かかってくるストレスへの対処法を身につけていくことも有効です。これらをリワークプログラムの中で行っていきます。

当院「こころリワーク」の特色

当院の特色①他院受診中の方も参加できます

当院「こころリワーク」は、他院通院中の方でも、後述の手続きを踏んだうえで、外来を転院せずに参加していただくことが可能です。(ただし、病状が不安定等の場合、外来とリワークの連携の観点から転院をお願いする場合があります)

当院の特色②早期開始、柔軟な期間設定

特に専門機関のリワークプログラムでは、再燃を繰り返す方が対象になることも背景として、より深くプログラム行うこと等を目標に、開始までに時間をかけ、かつ実施期間も半年以上など長期になることが見られます。一方で、「確実な復職」と「再燃を防ぐ技術の獲得」は、休職から復帰を目指す幅広い方にとって意味を持つと考えます。当院では、より幅広い方に貢献するため、ご相談後なるべく早期の開始と、2か月を1周期とした比較的短期集中でのプログラムに取り組んでいます。

当院の特色③医師監修での各種プログラム設計

リワークプログラムの目標として「確実な復帰」は重要ですが、それ以上に「再燃しない中での仕事継続」が重要と考えます。その観点から、「ストレス対処法の獲得」「振り返りと今後への反映」を主体にしたプログラムを多くして設計しています。具体的には、院長監修のもとでの、「認知行動療法」「ACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー」「マインドフルネス」等のプログラムに力点を置いています。また、その中で、様々な視点、意見を取り入れるための集団作業(グループワーク)にも重点を置いています。

具体的なプログラムの概要

こころリワークは、週5日、月曜日から金曜日の午前および午後に、各3時間、計6時間実施されます。プログラムは、曜日、時間帯ごとの11の内容(集団認知行動療法、ストレスマネジメント、内省プログラム等)で構成されています。

対象となる方

うつ病、適応障害等で仕事復帰を目指している方が対象になります。具体的には

  • ●休職が長期化し、しっかりしたリハビリが重要になった方
  • ●復職後の再燃が反復し、しっかりした再燃予防の対策が必要な方
  • ●復職に必要な外出や生活リズムの安定に課題がある方

のほか

  • ●できるだけ短期間で、再燃予防の準備をしつつ復職を希望する方
  • ●休職中に、考えのくせや対人関係などを見つめ直し再燃予防を図りたい方
  • ●退職後短期間で、再燃予防に注意しつつ再就職を目指す方

などが対象になります。

なお、離職期間の長い方、就職経験のない方に関しては、より時間をかけたプログラムのある「就労移行支援事業所」の活用をお勧めいたします。

こころリワークの参加について

当院受診中の方については、主治医と相談のうえ、参加の有無について決定していきます。(集団プログラムには相性があるため、その点も含め検討します)

これまで他院受診中の方は、以下の流れで、ご参加いただけます。

①お問い合わせ

ご希望の方は、まず見学のご予約をお願いします。ここで、見学、説明会の日程を設定いたします。

070-6453-7812

②施設見学・個別説明会

施設見学、当院のリワークプログラムの説明、関連する制度などの説明を行います。この際、かかりつけの先生への診療情報提供書用紙をお渡しいたします。③当院初診予約までに、診療情報の準備をお願いいたします。

③当院初診予約

診療情報ができ次第、当院代表電話042-319-7887に、リワーク希望での初診予約を行います。そのさい、「リワーク希望であること」「リワーク個別説明会をすでに受けていること」「診療情報の作成がすんでいる」ことをお伝えください。

④当院外来診察

当院医師が診察を行い、症状の回復度合い、活動量などを診察します。そのうえで、当院リワークプログラム利用が適しているかを判断します。(集団プログラムとの相性や回復度合い等をふまえ、参加することでの病状悪化のリスク等がある場合は、利用をお断りする場合があります。)利用が適しているとの判断の場合は、⑤リワークオリエンテーションの日程を予約します。

⑤リワークオリエンテーション

当院リワークスタッフと、実際の利用頻度や目標などを相談し、メンバー登録を行い、初回利用日を決めます。

⑥利用開始

実際にリワーク利用を開始します。

費用について

健康保険の適応になります。半日プログラムの場合は3割負担で約1200円(1割負担で400円弱)、全日プログラムの場合は3割負担で約2150円(1割負担で700円強)が目安です。回数が比較的多くなることが想定されるため、自立支援医療を希望される方は、主治医にご相談ください。なお、全日プログラム参加の方には昼食が提供されます。

具体的な「こころリワーク」の活用法

基本的には、はじめは少ない回数、時間から始めていき、慣れていき次第、徐々に回数・頻度を増やしていき、復帰に備えていきます。

状態や課題によって、望まれる参加の仕方が変わってくると思われます。代表的な例を、以下に示します。

(例1)休んでも、だるさ等活動しにくい状態が残る場合

この場合は、「負荷に耐えられる状態」を徐々に作っていくことが重要になり、そのための「段階的な活動性の改善のリハビリ」が大事です。

そのため、まずは午後のプログラム(活動性改善)に参加し、慣らしつつ徐々に頻度を増やして週5回にしていきます。その後、復帰を目指して午前のプログラムも追加していき(週5回全日)、復帰準備性の獲得を図ります。

(例2)仕事のストレスへの反応の要素が強い場合

この場合は、休職後早期に状態が改善しますが、復帰後のストレスに備えての再燃予防・ストレス対処技術の獲得が重要になります。

そのため、早期(休職1か月ほど)から午前のプログラム(ストレス対処技術)にできるだけ週5回参加し、復帰1か月前を目安に、午後のプログラムを追加し(週5回全日)、復帰準備性も形成していき、スムーズな復帰と再燃予防を目指します。

(例3)再燃・休職が複数回になっている場合

この場合は、再燃予防のために細心の注意が必要であり、また、職場からも客観的な「復帰準備性」の獲得を求められます。

そのため、慣れ次第、週5回、全日のプログラムを継続していき、活動性・ストレス対処技術の双方から「復帰準備性」を獲得することが重要です。

具体的なプログラムについて

具体的には、以下のような11のプログラムで構成されます。

<ストレス対処技術獲得のプログラム>

①集団認知行動療法

薬物療法と並び、うつ病の改善、再燃予防に効果があるとされる「認知行動療法」を集団で学習します。「考え(認知)」や「行動」のくせが、ストレスのたまりやすさやうつ状態の発症、再燃のリスクとなる場合があります。そのくせを見つめなおしつつ、そこを調整することで、症状の改善、再燃予防を目指します。

②ストレスマネジメント

ストレスのかかり方、・蓄積とうつ病・適応障害などの精神不調・症状は大きく連動します。逆に言えば、ストレスへの適切な対処(ストレスマネジメント)が身につけられれば、症状改善、再燃予防に大きな効果を持ちます。ここでは、自分のストレス対処の方法や弱点を振り返り、改善を繰り返していくことで、復職後ストレスがかかっても再燃しにくい状態の獲得を目指します。

③内省プログラム

復職する場合、しばしば同じ職場に戻ることになり、仮に転職や配置転換をしても類似した場面に出会うことはしばしばあります。そのさい不調を繰り返さずやっていくために、以前の振り返りを行っていきます。また、自らの長所・短所を振り返り、復職後にどう長所を生かし、短所をカバーするかを考えていくことで、再燃予防と仕事への動機づけを図ります。

④コミュニケーションスキルアップ(疾患教室と隔週で実施)

多くの仕事において、対人交流は避けられない部分になりますが、その身につけ方やくせは様々です。そしてその技術やくせが、ストレスの蓄積や再燃のしやすさに大きな影響を与えます。とかく「センス」等で語られがちな分野ですが、振り返りと、反復練習でカバーできる部分は多いと我々は考えます。ここでは適切な自己主張(アサーション)や「聞く・考える・伝える」の3段階の技術などを練習し、対人交流の技術を改善し、対人ストレスでの再燃の予防や、対人面に関わる自己肯定感の獲得を目指します。

⑤疾患教室(コミュニケーションスキルアップと隔週で実施)

うつ病や適応障害といった、自分のころの不調について知ることは、その対策を日々行っていくために有効です。このプログラムでは、うつ病・適応障害について、概念や治療法から始まり、周りへの説明法や社会資源など、周辺の事項も含めて学んでいきます。

⑥生活習慣改善プログラム

こころの状態とからだの状態は、特に各種臓器に走っている「自律神経」を通じて密接に結びついている面があります。そのため、生活リズムや食事など、生活習慣をより良い方向に持っていくことで、間接的にこころの状態の改善も図っていくことが期待されます。このプログラムでは、生活習慣を改善するための様々なコツについて扱っていきます。

<活動性改善のプログラム>

①Laughプログラム

うつ状態になると、物事の辛い面に目が行きやすくなり、楽しめることを忘れてしまい、悪循環にはまることがあります。そのため、認知行動療法の一つである「行動活性化」においては、やりがいのある行動、楽しめる行動を増やすことで、うつ状態の改善を図っていきます。このプログラムでは、楽しめることをすることに集中して、忘れかけていた「楽しさ」などの感情を思い出していくことを試みていきます。

②運動理論プログラム

活動を増やす「行動活性化」は、症状改善、復帰準備性のほか、復職後の再燃予防にとっても重要です。そのために適度な運動はうってつけです。しかし一方で、運動に関して苦手意識があったり、急に動きすぎる等でかえって不調になったるする方もいらっしゃるかも知れません。

このプログラムでは、運動の持つ本質的な意義と、実際にどのようにすれば継続して、無理なく運動を生活に取り入れられるかを学んでいきます。この学習を通じて、(競争ではなく)自らの心身の健康維持のために継続的な運動を取り入れていくことを目標とします。

③実践・認知行動療法(2019年3月開始)

集団認知行動療法では、定型的な認知行動療法の技法に関して、全般的に学んでいきますが、実際の生活にどう生かしていくか、ご質問を受けることがあります。

このプログラムでは、「睡眠」「疲労・ストレス対処」「復帰前後での他者や過去とのかかわり方」「人生設計の再検討」をテーマに、より具体的な形で、認知行動療法の技術の生かし方を模索していきます。

④オフィスワーク

当院のプログラムでは、活動性やストレス対処など、「基本」にこだわったプログラムを重視していますが、やはり会社への復帰を考える場合には、仕事場面に類似した技術の練習も同様に重要です。

このプログラムでは、グループごとにテーマを決め、内容を調べたり、内容をまとめて発表するといった仕事類似の活動を実際に行います。その中で、頭を使う活動に慣らしていくとともに、集団で話すことなど、仕事の中での自分の在り方を見つめ直すヒントにしていくことを目標とします。

⑤こころストレッチプログラム(2019年3月開始)

復帰後、再燃を予防しつつ方向性を持って仕事を続けていくためには、様々なストレスに柔軟に対応する「こころの柔軟性」が重要になります。

このプログラムでは、マインドフルネスも活用した新しい認知行動療法と言われる、「ACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)」をもとに、特に復帰後の人生に重要な「こころの柔軟性」の獲得を目指していきます。

⑥マインドフルネス&リラックスプログラム

現在、精神医学のみならず様々な分野で「マインドフルネス」の有用性が指摘されています。ただし、本を読むだけではなかなか実感がつかみにくいとの話も聞きます。

このプログラムでは、実際にマインドフルネスを実践するとともに、リラックスにつながるアプローチを実践し、復職後もマインドフルに生活、仕事を行っていく事を目指します。